ブルーカラーと呼ばれる肉体労働者は大卒の人にもおすすめできる職種でもあります。
ブルーカラーの職種は、単に肉体労働というだけでなく、働き方によってはやりがいも大きく、高収入を得ることも可能な職種なのです。
現代では大学新卒生の間でもブルーカラーとして働くことを望んでいる人は増えています。
この記事では、
・大卒におすすめのブルーカラーの職種
・大卒がブルーカラーで働く場合の年収・メリット
について詳しく解説していきます。
大卒の学歴を持っていてブルーカラーの職種に興味のある方はぜひ参考にしてみてください。
ブルーカラーとは?
そもそもブルーカラーとは、製造業や建設業と言った肉体労働系の業種に就いている人を指します。
工場勤務だけでなく、林業や農業、漁業もブルーカラーに該当します。
余談ですが、肉体労働の反対にあるオフィスワークなどは「ホワイトカラー」と呼ばれています。
ブルーカラーと呼ばれるようになったのは、作業服の色に由来していますが、現代では作業服の色も豊富になっているので、青色の作業服を着る仕事だけがブルーカラーとは限りません。
また、カラーは色を指す「color」ではなく、服の襟を指す「collar」です。
この呼び方は日本よりもアメリカの方で馴染みのあるもので、日本では「ガテン系」という呼び方のほうが周知されているかもしれません。
しかし、日本の「ガテン系」というのは鳶職や工事現場など一部の仕事のみを指すことが多いため、幅広く肉体労働者を指すブルーカラーという表現をしている場合もあります。
日本でブルーカラーの存在が大きくなったのは、明治時代ごろに工業化が拡大したことがきっかけです。
高度経済成長期になると街の発展や産業の促進によりブルーカラーの人口が増えていきます。
しかし工業のオートメーション化が進化したことで、より専門的な知識や技術が必要とされ、ブルーカラーの割合が減少傾向となりました。
そもそも日本において肉体労働者はあまり優遇されているとは言えない立ち位置にいました。
特に3K問題(きつい・危険・汚い)が原因で若者には受け入れられない傾向にありました。
そのため、ブルーカラーは仕事が見つからなかった人の行く末であったり、学校中退者などが働く場所だという偏見もあったのです。
しかし昨今になると、労働環境の改善によって働きやすく、高収入というメリットも周知されるようになっています。
また、ホワイトカラーの職種よりもブルーカラーの方が自分に合っているという意見を持つ人も増えているのです。
ブルーカラーで大卒におすすめの職種
冒頭でも少し触れましたが、昨今では大卒の学歴を持った人の中にも、ホワイトカラーと呼ばれる頭脳労働ではなくブルーカラーの職種で肉体労働をしたいという人が増えてきているのです。
ここでは大卒の人におすすめしたいブルーカラーの職種をご紹介していきます。
製造業
ブルーカラーの職種では代表的とも言える業種です。
いわゆる工場で働く仕事で、さまざまな製品を作る仕事です。
求人情報にも多く掲載されている職種ですので、一度は目にしたことがある人も多いでしょう。
製造業も細分化していくと多くの職種があります。
製造ラインに立って直接製品に触れる仕事や梱包や仕分けをする仕事、材料などの管理を行う仕事、人員の管理を行う仕事など会社によっても多数です。
製造業と聞くと機械部品や自動車などの工場が中心のように思えますが、食品や薬品なども製造業のひとつです。
大卒が工場などで働くというのはあまりイメージがない人も多いかもしれませんが、現代では一つの進路としても当たり前の選択肢となっていますし、企業側としても大卒の人が入ってもらうことで、その現場のリーダーとして育ってほしいという狙いもあるようです。
工場は日本全国にあるので、勤務地もある程度好きに決めることが出来るというのも魅力的な部分です。
また、大卒であれば昇進も難しいことではなく、若くして管理職というポストに就くこともあります。
さらに給与面や休日なども安定しているので製造業を望む人が多いことも頷けます。
建設業
ブルーカラーの職業としても有名なのは建設業です。
建設業は名前の通り建設工事を行う仕事です。
基本的には工務店などに所属して仕事を行いますので、就職先としては大手ゼネコンから街の工務店まで幅広くなっています。
手掛けるのは住宅をはじめ、ビルや公共施設などの大型の建物もあり、どんな物を手掛けたいかで進路を決めます。
建設業は現場で作業をする作業員のほか、現場を指揮する監督、工期などを調整するマネジメント業務など多岐に渡っています。
さらに細かい業種になると、地面を作るコンクリート工事やレンガ・タイルなどを施工する工事、板金、ガラス、内装などかなり細かくなっていきますが、基本的には同じ工務店で行うことが多くなります。
特殊なものとしては、電気工事や造園工事、塗装工事、機械機器設置工事などもあり、これらになると専門知識や技術が求められ、長年働くことでキャリアアップしていくのです。
工場などではオートメーション化が進んでいますが、建設業においてはまだまだ人間の手が必要とされていますので、求人は多くあります。
農林水産業
農業・林業・漁業もブルーカラーの業種の一つです。
生産品を出荷して収益にするもので、それぞれ専門分野がありますので、自分の進みたい道に沿った勉強や資格取得が必要となります。
最近では直接産業に関わらず、経営などによって間接的に関わる仕事も増えてきています。
特に農業では、インターネットを活用した作物の通販会社の設立などが話題となっているように、IT企業でありながらブルーカラーに関わるという事例もよく見られます。
天候などに左右されてしまう職業ですので、必ずしも安定している業種だとは言い切れない部分もありますが、今後も永続的になる業種ではありますし、一般企業とはちがう自由な部分もあります。
また、やりがいの面でも一般企業とは違った部分があることから、大卒で農林水産業を目指す人も増えています。
近年では生産物のブランド化が顕著になっているため、新たなブランドを作って大きな収益にしようとする動きも見られます。
現場作業
建設業にも当たりますが、こちらではいわゆる「現場仕事」と呼ばれる業種を紹介します。
基本的に現場作業というと、土木作業員などを指します。
道路工事であったり、建造の現場であったりと肉体労働がメインになります。
冒頭で紹介した「ガテン系」という方がしっくり来るかもしれません。
肉体労働が自分に合っているという人であれば、大卒であっても現場作業員を希望するようです。
現場作業員はその職務の過酷さから敬遠する人も多い職種でもあるのですが、その分給与面や福利厚生が手厚くなっていることが多いため、貯蓄をしたいと考えている人にも人気なのです。
また、手に職系の仕事ですので、所属する会社が変わってもある程度職歴があれば即戦力として雇われやすくなるので、転職にも有利という大きなメリットもあるのです。
ブルーカラーの大卒の職種は理系と文系で違う
ブルーカラーとして働くと言っても、文系と理系で就くべき職種は変わってきます。
と言っても、「理系だからこの職種では働けない」というわけではなく、あくまでもおすすめというレベルですので、進路の参考にしてみてください。
文系の場合
ブルーカラーというと肉体労働ばかりだと思われがちですが、会社として経営する以上、事務作業や営業などが必要となります。
そのため、ブルーカラーの職種でも事務系の求人が必ずあります。
大手ゼネコンなどになると取り扱う事務作業も膨大になりますし、やりがいも見つけられる仕事です。
理系の場合
理系の大卒になると、どちらかというと特殊な技術・資格を必要とされる職種がおすすめです。
特に電気工事関係、メンテナンス関係の職種は手に職をつけることができるのでおすすめです。
理系の大学では特殊技術を習得する機会が多いので、在学中に積極的に試験に臨むのもいいでしょう。
現場系の資格以外にも、現場の管理責任者に必要な資格などもブルーカラーの職種には欠かせません。
ブルーカラーで大卒が働く場合の年収はどのくらい?
大卒でブルーカラーとして働く場合、やはり気になるのは年収です。
厚生労働省が発表している賃金統計などを調べると、30代のブルーカラーの職種がどのくらいの平均収入なのかを知ることができます。
ブルーカラーで働いている人が多いと言われる製造業では、平均年収が約280万円~300万円となっています。
しかし製造業で働いているのはほとんどが高卒ですから、大卒であれば、上記の年収より多少高くなるでしょう。
製造業の中でも特殊技術を必要とする職種の場合、資格を所有しているとさらに収入は高くなります。
また、建設業は肉体系の仕事ですので作業に危険が伴いますが、専門的な技術を必要とするため給与もその分高くなる傾向となっており、平均年収は約300万円~350万円と高額です。
同じ会社に入っていると大卒・高卒で大きく収入が変わることは少ないですが、大卒であれば就職できる企業の規模を自由に選ぶことが出来るというのが大きな違いでしょう。
企業が大きければその分収入も多くなるので、先程紹介した年収も数割アップすることが考えられます。
ブルーカラーで大卒が働くメリットとは?
大卒であれば、ブルーカラーで働く事に対して多少なりとも抵抗がある人もいるかもしれません。
ですが、ブルーカラーで働くメリットはとても多いのです。
ここでは、ブルーカラーで大卒が働くメリットをいくつかご紹介しますね。
就職先が豊富
大卒の人材を欲している企業は多数ありますが、ブルーカラーの職種はさらに選択肢が増えます。
単純に製造系と言っても、その業種はさまざまであることは冒頭のほうで簡単に説明しましたが、さらに詳しく説明していきます。
最も就職先が見つかりやすいとされているのは、やはり大手企業の製造ライン工場です。
主に自動車・電化製品・食品は全国にも工場が多数あるため、自分の希望する職場への就職も可能になります。
製造の仕事を例に出しましたが、会社によって製造物は違いますから作業内容が全く変わります。
新卒生によくある悩みとして
「働き始めた会社が自分と合っていない」
というものがありますが、こういった悩みは別の職種に就くことで自分に合った仕事を探す事ができるので、ブルーカラーで働くメリットの一つと言えるでしょう。
他にもブルーカラーの仕事には、運送系や整備作業、ビル管理業なども含まれています。
運送系は、トラックの運転手のほか、倉庫での在庫整理や出荷作業、検品などがあります。
整備作業は、指定された場所を専門技術で整備するもので、造園作業やビルメンテナンスもこれにあたります。
特殊なもので言えば公共施設の整備もあります。
例えばサッカー場、スポーツ施設、公園、劇場・ホールなどのメンテナンスといった作業もあるので、自分の趣味を仕事にしたいという人におすすめです。
一般的にアルバイトなどを募集していない企業でも、大卒生の求人を行っていることもありますし、会社からその現場へ向かうということもあります。
働いてみたいと思う場所がある場合は詳しく調べてみることが重要です。
転職に有利
就職をしても自分に合わない、何らかの事情で転職を考え始めるという時期が来るかもしれません。
実際、新卒生で転職を考えて悩んでいる人も珍しくありません。
転職をする場合に求められるのは前職から得たスキルです。
全く違う職種になると1から教えなければ行けないので、企業側としても雇いにくいというデメリットがありますが、ブルーカラーの職種は働き方や環境が似ているため、労働内容が異なっていても雇われやすい傾向にあるのです。
休日などが確定している
ブルーカラーで働く上で一番のメリットとも言われるのが休日の安定です。
工場勤務などでは基本的に土日祝日が休日になります。
お盆休みや正月休みもカレンダー通り取れますし、休日出勤も少ないのが特徴です。
繁忙期などは多少休日出勤も入ることがありますが、ずっと続くわけではありません。
いつ呼び出されるか分からない、いつまで帰れないのか分からないといった不安感もなく、時間通り働くことができるのは長く働く上で大切になります。
工場勤務の多くの場合は、シフト制で働く時間がきっちり決められているので、残業をしたくないという人にはメリットになるでしょう。
高収入を期待できる
ブルーカラーは安月給できつい仕事ばかりだと思われていますが、大卒で正社員として入社すれば平均収入程度の収入を期待できます。
さらに専門職、技術職で就職すればその分給与も高くなりますし、就業年数が上がれば上がるほど給料は高くなります。
職種や就業時間などをしっかりと選べば、平均以上の収入を得ることも難しい話ではありません。
むしろ高収入を得られる仕事にもなり得るのです。
自分のリズムに合った働き方ができる
現場系の仕事はある程度リズムが決まっています。
先程も説明したように、シフト制の仕事になれば出退勤の時間が決まっているので、自分の時間を作りやすくなります。
それだけでなく、基本的にブルーカラーの仕事ではノルマなどもありません。
他の人も同じ作業をしているので、自分一人が個性を出して頑張る必要は無いというのもメリットだと思います。
自分の代わりはいない、という考えよりも自分がいなくても大丈夫、という意見に同感出来る人にはありがたい職場だったりします。
ブルーカラーで働く大卒と高卒にはどんな違いがある?
ブルーカラーとして働くのは大卒でも高卒でも可能ですが、全く同じ待遇になるわけではありません。
大卒ならではの特徴などを紹介していきたいと思います。
出世しやすく管理職になれる可能性が高い
ブルーカラーで働いている人は、ほとんどが高卒以下の人です。
このような環境では、大卒というだけで他の社員より出世できる可能性が高くなります。
もし、ホワイトカラーで大卒ばかりの職場であれば、大卒というだけでは出世するポイントになり得ず、大学名が効いてくるでしょう。
これと同じことがブルーカラーでも言えるのです。
高卒ばかりであれば、頭一つ抜けるような能力があったとしても会社側に認めてもらうことは難しく、
「出世できるのは大卒以上」
という暗黙の了解が実際にあるのです。
これは大企業になればなるほど色濃く残っています。
大卒で出世して管理職になることが出来れば、年収も大幅に上がることが期待でき、同じ会社でも高卒との年収差は大きく開くでしょう。
転職に有利
前項でブルーカラーの職種は転職がしやすいと紹介しましたが、大卒であればさらに有利となります。
大学を卒業しているという実績はその人が基礎学力や知識・技術があるということの証明になるので、企業側から評価してもらえます。
一方高卒の場合は、最終学歴が高等学校なので学力が低いとみなされ、転職しづらいのが現状です。
もちろん大卒であっても、どこの大学を卒業し、どの会社を経てきたのかという経歴が転職の際にはとても重要になります。
海外勤務も可能
ブルーカラーの職種で特に技術系の企業の場合、アジアを中心に発展途上国へ進出しているところもあります。
そういった企業では海外勤務もありえます。
大卒である程度の英語力を持っていれば、外国での勤務も出来るようになるでしょう。
まとめ
ブルーカラーの職種は大手企業も多数あり、これからの日本や世界を作っていく企業が多い職種です。
決して底辺の仕事などではなく、やりがいもあったり、大卒であれば出世の可能性も高くなります。
また、ブルーカラーと言ってもその職種は多数で、あなたが知らないものも多数あるはずです。
就職の際はネームバリューに翻弄されてしまいがちですが、やりたくない仕事を選ばず、自分がやりたいと思える仕事を見つけましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。