これから工場で働きたいと思っている人の中には、
「工場勤務ってきついのかな?」
「工場勤務をするなら出来るだけ楽な仕事がしたい」
このように考えている方も多いのではないでしょうか?
工場勤務は、正社員・派遣社員・パート・アルバイトなど、さまざまな雇用形態で働くことができ、主婦の方や未経験の方でも働くことができます。
しかし、工場は製造物によって仕事内容が全く違うので、働く工場選びを間違えてしまうと、きつい思いをしてしまう可能性があるのです。
この記事では、工場で楽に働きたいと考えている方に向けて、
・工場勤務できつい業種・職種
・工場勤務で楽な業種・職種
について解説していきます。
あなたの工場選びのお役に立てれば幸いです。
工場勤務できついと言われる業種とは?
まずは工場勤務の中でも特にきつい業種について紹介していきます。
業種とは、その工場が生産している製品がどの産業に属しているかを指します。
ではそれぞれ説明していきますね。
ゴム業界
ゴムは日常において欠かすことのできないもので、ゴム産業は大きな業界の一つです。
ゴム工場は規模が大きく、工場内ではゴム独特の臭いが充満しています。
機械部品などの一般的な工場で漂っている臭いは作業していくうちに慣れていきますが、ゴム関係は、何年経っても慣れない人もいるくらい強烈です。
この臭いは鼻だけでなく目にもきますし、服や体にも染み付いてしまうので、自宅や車の中にも移ってしまいます。
これが原因で工場勤務自体が嫌になってしまったり、体調を崩してしまう人もいるくらいなのです。
製造においても高温で行われるので工場内は暑く、ゴム自体も重たいので力仕事も多くなり、きついと感じる人が多くいます。
ダンボール業界
荷物の運搬に使うダンボールは、宅配の進歩とともにあるため、現在でも大きな業界の一つです。
ダンボールの製造は、紙を加工して作りますが、
「ダンボールなんて軽いから楽だろう」
と勘違いしている人も多くいます。
しかしダンボールは量が増えればかなりの重量になりますし、加工前の状態は大きいため扱いづらくなります。
紙を加工する際に発生する独特の薬品臭もあるので、先程のゴム産業と同じく、人によっては耐えきれないレベルだと言われています。
また、紙を取り扱う作業ですので、手荒れや小さな切り傷も多くできやすくなります。
このように肉体労動であることや労働環境の悪さによって、ダンボール業界はきついと言われています。
自動車業界
求人募集が多い業種ではありますが、肉体的にきつい業界として有名です。
自動車製造は多くの職種に分かれていますが、基本的には立ち仕事であり、重いものを運ぶという作業が多くあります。
ライン作業であれば、決められた時間内に部品の取り付けを行わなければならず、次の工程の人に迷惑をかけてはいけないプレッシャーもあります。
トイレ休憩を取りたい時であっても、一時的に我慢を余儀なくされる場合もあるのです。
また、人員の入れ替わりが激しかったり、24時間稼働になっている工場も多いので、働く環境としてはあまり良いとは言えません。
特に深夜帯の勤務から昼間の勤務に切り替わる時は、身体的にも精神的にもきつくなります。
生産ノルマが厳しく設定されていることもあり、残業が多くなりがちな一面もあるので、初めて働く場合は注意しなければいけません。
機械業界
自動車以外の機械を製造する工場は多数あります。
家電や精密機械などの工場は、求人で見ることも多いでしょう。
自動車工場と同じく、立ちっぱなしの作業、緻密な作業、重いものを持つ作業などが基本になるので、体力的にきついと感じる事が多いです。
さらに工場の音や臭いといった環境面も慣れずにストレスになってしまいます。
機械製造は中小企業であることが多く、生産量にばらつきが見られます。
繁忙期の場合は、同じ体勢で長時間同じ作業を繰り返すことになるため、体力的・身体的にもきつくなります。
一方生産量が少ない場合は、突然生産を中止することもありえます。
工場勤務できついと言われる職種とは?
次に工場勤務の中でもきついと言われている職種と、その実際の作業について紹介していきます。
職種とは、業種の中でもさらに細分化された職業になります。
マシンオペレーター
マシンオペレーターは工場内で使用されている機械を取り扱う仕事です。
機械の基本的な操作だけでなく、調整や不備が発生した時の調査・修理なども任されます。
資格が無くても働けますが、覚えることはたくさんあり、責任の重い仕事でもあります。
場合によっては作業のたびに設定を調整しなければならず、完成した製品の責任を負うため、完成品を出荷した後に問題が発生すればマシンオペレーターに追求が行きます。
製造に関してのスケジュールを担う一員でもあるので、重要な立場となります。
金属加工
金属製品を取り扱う工場では、金属加工の仕事が必要です。
材料となる金属を曲げたり穴を開けたり、任意の形に成型したりなど、細かな技術が必要となります。
作業自体は機械を使って行うのですが、ある程度勘の要求される現場です。
作業中は火花をかぶったり、高温の中で作業をしたり、重いものを操作するので体力的にもきつい仕事になるでしょう。
こちらも特に資格は必要ではありませんが、製品として出せるものが出来るまでそれなりの練習が必要となります。
塗装
自動車工場などで製品にスプレー塗装をする仕事です。
専門のブラシを使って塗装を行いますが、細かな塗料を使うため、健康面に懸念がある仕事です。
体を動かして作業を行うので、肉体的な疲労が強く感じられます。
初めのうちは塗料の臭いに慣れないので、きついと感じる人も多くいます。
また、製品の見栄えに直結する仕事のため、簡単だとは言い切れません。
ものになるまでは年単位での練習も必要で、性格によって向き不向きがはっきりと出る職種です。
組み立て
機械などの部品を組み立てる仕事です。
ライン作業であることが多いのですが、難しい技術や細かい作業を手早く行う技術が要求されます。
作業する時は立ちっぱなし、もしくは中腰のままなので腰や肩を痛める人が多いです。
時間に追われる仕事でもあるので精神的にきついと感じるかもしれません。
研磨
金属やプラスチックの製品を成型した後に研磨加工を行い、表面を綺麗に整える仕事です。
研磨機ややすりを使いますが、その時に出る粉塵はかなり細かく、人体に入り込む可能性があります。
もちろん粉塵を防御するための専用のマスクを着用しますが、作業後に服などから残った粉が出てくるので完全に防御する事はできません。
細かい作業や力が必要になるため、疲れが大きい仕事です。
溶接
金属同士を溶接する仕事で、高い技術が求められます。
アーク溶接やティグ溶接といった溶接方法を用いて行いますが、火花が飛び散ることはもちろん、煙や粉塵も出ます。
特別な仕事のため給料は高く設定されていますが、とにかく作業が大変です。
暑い上に正確さ、美しさが求められ、さらに無理な体勢で作業することも当たり前なので、仕事を始めた当初は体の痛みが抜けません。
危険も伴いやすい仕事で、火傷も頻繁に起こります。
工場勤務で楽な業種とは?
楽と言っても、「製造業の中では比較的に楽」という意味ですので、苦労せずに働けるということではありません。
働き始めれば慣れない面で苦労することもありますし、人によっては辛く感じることもあります。
ここでは、工場勤務を始めたい初心者の方に、おすすめの業種について紹介していきます。
食品業界
日本全国にある食品工場では、誰もが出来るような簡単な仕事を担う作業員をよく募集しています。
食品製造と言っても、料理のスキルは一切必要ありません。
機械が製造したものを並べたり、検査するだけのため、座ったまま楽に仕事ができます。
また、機械のような嫌な臭いはありませんし、食品を取り扱っている以上工場内も清潔に保たれています。
力を必要とせず、クリーンな環境のため、食品業界は女性におすすめの工場です。
化粧品業界
食品と同じく化粧品も清潔な環境で製造されています。
多少の薬品臭や香料の臭いはありますが、慣れるのも比較的早い傾向にあります。
特に女性であれば、化粧品の匂いにも慣れているので働きやすいと思います。
化粧品を実際に使うわけではなく、正しく製造されているかを監視する仕事がほとんどなので、座って楽に作業ができます。
また、社員割引で安く化粧品を手に入れることができるのも嬉しい特典でしょう。
木材業界
木材を加工して製材にしたり、加工して製品を作る仕事を行います。
機械を使った作業が主になりますが、最近の機械はセットさえすれば自動で行ってくれたり、安全装置が完備されているので、怪我の心配もありません。
木くずを加工している現場では、床に木くずが散乱していて清潔という印象はありませんが、作業服を着て作業するので防護できるでしょう。
仕事内容も単純なので、楽に働けるでしょう。
アパレル業界
工場勤務の中でも特にイメージが湧きやすいのが、衣料品などを作る仕事です。
ほとんどはミシンを使って製品を縫製する仕事になります。
座って出来ること、自分のペースで出来ることを考えると、主婦の方でも楽に作業ができます。
また、裁縫の才能がある方や、手先を使った作業が好きであるなら楽しい作業になるでしょう。
工業用ミシンは家庭用とパワーが違うので最初は戸惑うかもしれませんが、これも徐々に慣れるので心配はいりません。
工場勤務で楽な職種とは?
数ある工場勤務の中でも比較的楽に出来る仕事をピックアップしてみました。
初心者でも簡単にできる仕事ばかりなので、工場勤務を始めて行う人におすすめしたい仕事です。
ライン工
ベルトコンベアに流れてくる製品に部品等を組付け、完成に近づける作業を行う仕事です。
工場勤務と聞くとこの作業を思い浮かべる人も多いと思います。
一つの動作を繰り返し行うもので、大量生産品を作っている工場で取り入れられている作業です。
自動車のライン工はきついと言われますが、食品や小さい機械の部品組付けは比較的楽に行えます。
仕事内容は、流れてきた製品に何かを付加させる作業で、ネジを締める、乗せる、向きを変えると言った単純作業になります。
これまで工場作業をしたことがない人でもすぐ出来ますし、覚えることも少ないので自分の性に合えば長く続けることができます。
仕分け
工場にある製品を配送する場所ごとに仕分けし、梱包する仕事です。
雑貨やアパレル関係以外に、機械部品の仕分けもあります。
伝票にある製品を集めて箱に分けるだけの仕事のため、簡単で楽に作業ができます。
また、ある程度動きながら作業をするので体を痛める心配もありません。
工場勤務の中でも静かな場所で作業する事ができますが、他人とのコミュニケーションもある程度必要になるので、少し特殊な仕事になります。
検査・検品
完成した製品に不備や不具合がないかを検査する仕事です。
先程の仕分けと同時に行うこともありますが、大きな工場や製品の数が多い場合は、専門で部署を作っていることもあります。
仕事に慣れていけば作業も早くなり、楽に行えます。
全くの未経験であってもすぐに出来る仕事なので、女性でも簡単にできるでしょう。
また、規格外になってしまい、商品として出荷できないと判断したものをはじく仕事もあります。
最近では機械によって検品できるようになっていますが、食品業界などは人の目・手を使って検査する方針の工場が多数あります。
ピッキング
工場の倉庫内にある商品を配送先ごとに集めて、配送業者に受け渡すという仕事です。
仕分けに似ていますが、ピッキングはすでに梱包されたものを扱う仕事になります。
梱包された箱に貼られているバーコードを読み取りながら製品管理も行いますので、確実な作業が求められます。
少し特殊な動作になるので初めの頃は慣れないこともありますが、1ヶ月もすれば仕事を覚えられるので、その後は楽に作業ができるでしょう。
さらにピッキングの仕事はどの倉庫でも行われる仕事なので、経験を生かして別の工場への転職もしやすくなります。
シール貼り
商品のパッケージにあるシールを貼ったり、梱包したダンボール箱に仕分け用のシールを貼ったりする仕事です。
用意されたシールを指定に応じて貼っていくだけの仕事なので、だれでも簡単に作業ができます。
慣れも早いですし、コツをつかめば効率よく貼っていくことができます。
作業自体は楽ですが、あまりに単調の仕事なのでやりがいを見出すのは難しいと言えます。
工場勤務の三交代制やニ交代制がきつい理由
工場勤務の求人を見ていると「交代制」と記載されているものが多くあります。
特に大手の工場は大抵交代制のシフトになっています。
交代制を簡単に説明すると、工場を24時間稼働させるために、従業員に交代で働いてもらうというシステムです。
多くの工場では二交代制と三交代制が取られています。
しかし、この交代制が工場勤務を辞めたくなるきっかけになるほどきついと言われているのです。
その理由は、就業時間にあります。
まず、二交代の場合は、一人が10時間以上働かなければいけなくなります。
フルタイムの時間が8時間なので、残りは必然的に残業扱いとなります。
終業時間が深夜の時間帯になってしまうことも珍しくありません。
三交代制の場合は、一人8時間労働で回しますが、勤務時間が早朝・昼間・深夜とばらばらになります。
「日常的に夜中まで起きているし大丈夫」
と思っている人も居ますが、交代制のきつい部分は夜中に勤務することだけではありません。
工場の多くは、昼勤務から夜勤務へ、または夜勤務から昼勤務など、定期的に勤務時間が変更するシステムを設けています。
そうなると、必然的に昼間や早朝の時間に出勤しなければいけなくなり、疲れも溜まってきついと思ってしまうのです。
工場勤務に向いている人の特徴
細かい作業が好き
工場作業は細かい作業が多くなります。
自動車などの機械の多くは、一つ一つの小さい部品で成り立っているので、扱うには手先の器用さが求められます。
普段から細かい作業を得意にしている人は、仕事内容で苦痛を感じることも少ないでしょう。
反復作業が好き
工場での作業は基本的に同じことの繰り返しです。
特にライン工などは、ひたすら一日同じ動きだけをすることになります。
反復作業は飽きが来るのが早く、時間の進みを遅く感じてなかなか仕事が終わらないので、きついと感じる人もいます。
反復作業ができるか否かは、これまでの自分の経験上、想像しただけでも判断がつくでしょう。
短期の仕事ならともかく、長期的に働きたいと考えている場合は向き不向きを見極めてから応募しましょう。
同じ体勢を続けられる
工場勤務は、長時間同じ体勢で仕事する事が多いです。
オフィスワークも座ったままの仕事ではありますが、工場勤務は同じ体勢でさらに力を必要とするため、肩こり・腰痛・神経痛などは当たり前になってしまいます。
無理して続けると治りにくくなってしまう可能性もあります。
黙って作業するのが好き
工場作業は黙々と作業する事が求められます。
無駄話が好きな人や、他の人とのコミュニケーションを強く求めるような人には向いていませんが、自分のペースで黙って作業をしたい人にはとても向いています。
ある程度の社交性がある
黙々と作業すると言えども、業務連絡や作業場の雰囲気を良くするためには、ある程度の社交性は必要となります。
人と会話する時にある程度のコミュニケーションが取れると、自分も周囲も気持ちよく作業を進めることができるでしょう。
まとめ
工場勤務は、一般企業での仕事と違って、向き不向きがはっきり分かれます。
向いていない人が無理矢理工場勤務を始めたとしても、続けられないほどの苦痛を感じてしまうでしょう。
一方で向いている人であれば、何年も続けることが出来る仕事でもあるのです。
工場勤務をこれから始める初心者の方は、「工場勤務で楽な業種・職種」で紹介した仕事から初めると、きつさを感じずに働くことができるでしょう。
工場勤務にはさまざまな業種・職種があるので、自分の性格を踏まえた適正のある仕事を見つけることが大切です。
最後までお読みいただきありがとうございました。