「工業高校と高専はどちらも工業に関する専門知識を学ぶ学校だけど、どんな違いがあるんだろう…。」
「工業高校と高専の就職先にはどんな違いがあるの?」
工業高校と高専について知らない人は、このように思ってしまいますよね。
この2つの学校は一見同じような分野の勉強と思われがちですが、実は大きな違いがたくさんあるのです。
工業高校と高専の2択で進学の選択をする場合はなおさら、「それぞれの違い」について深く理解しておく必要があります。
工業高校と高専の違いには、カリキュラム以外にも卒業にかかる年数や、学べる分野、専門性の深さなどがありますが、エンジニアとしていずれは社会で活躍する人材という点では共通しています。
この記事では、「工業高校と高専の違い」について授業内容や就職先まで詳しく解説していきます。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
工業高校と高専の違いとは?
工業高校と高専の違い①偏差値
工業高校の偏差値と、高専の偏差値は圧倒的に違います。
まず工業高校は、文字通り工業(ものづくり)についてを学び、基本的には3年間で卒業するのが通常であり、赤点を取らなければ卒業ができます。
そのため、学生の中にはどうしても授業態度が悪い生徒もいますし、スポーツ推薦で入試を合格した偏差値があまり高くない生徒もいるので必然的に偏差値が低くなります。
一方高専はというと、工業高校と比べて偏差値が高くなります。
高専へ入学すること自体が難しいのですが、入学後も各分野の専門的な授業を受けます。
また、定期的に行われるテストで合格点を取り、単位を取得していかなければなりません。
講義には、大手企業から招いた専門家の最先端の授業を受けることができますが、かなりレベルの高いものになります。
講座の単位修得はテストの点数で判断されますが、講義のレベルが高いのでテストで合格点を取れない場合は単位が落ちてしまうこともしばしばあるのです。
高専は、エンジニアを志す者の登竜門といった学校であり、工業高校の生徒からするとまさに「エリート」というイメージになりますね。
まさに「エンジニアのプロになるための職業訓練所」とも呼べる専門的な知識や技術を学ぶ学校と認識しておきましょう。
工業高校と比べると求められるレベルに圧倒的な差があるのです。
工業高校と高専の違い②卒業までの年数
前項でもお話しましたが、工業高校は基本的に3年後の卒業を機に社会へ出ることがほぼ前提となっています。
3年で卒業するため、普通の高校と卒業年数に変わりはありません。
一方高専は、工業高校と違い卒業に5年もの期間を費やします。
高専で過ごす5年間は、「その分野の次世代を担うエンジニア」になることを目指すための勉強期間ですので、工業高校より遥かに勉強量は多くなります。
5年間一貫教育の単位制であり、高校生の年齢ですが大学のように自分で単位を取得していかなけばなりません。
「高専は大学と似たようなところ」
と言われる理由はその校風からきているのではないでしょうか。
また、先ほど偏差値のお話をしましたが、高専は留年してしまう生徒が多く、無事5年で卒業するのは大変だと言います。
それほど単位取得のための勉強がシビアであることが分かりますね。
工業高校と高専の進路の違い
先ほど、工業高校と高専では偏差値レベルと教育方針が違うことを説明しました。
では、その二つの進路の違いはどうなのでしょうか?
一番ポイントとなる工業高校と高専のそれぞれの進路について紹介しますね。
工業高校への進学は、比較的入試が簡単であるため合格もしやすくなっています。
授業では高専に比べてものづくりの基本をじっくり学び、製造業で働ける人材にふさわしい人間を育てるという方針のため、進路は大手企業の工場などです。
「工場」と聞くと3K職場やブラック職場が多いイメージを持ってしまい、大変な仕事に聞こえるかもしれませんが、大手企業への就職がしやすいため非常に卒業後の進路は安定しています。
また、工業高校は生徒の質や社会へ出ても恥ずかしくない人材を育てるための教育を行っているので、専門分野に関係なく、大手企業は工業高校の新卒の生徒だから安心して採用できると信用取引的に採用してもらえます。
そのため工業高校は毎年就職希望者の就職率はほぼ100%になっています。
それに対し高専の生徒は、「その分野の次世代を担うエンジニアを育成する」といったコンセプトで教育を行っているので、プログラマーなどの最先端の教育を受けた生徒はその分野では即戦力ですが、他の分野では全く知識や技術を持っていないということになりがちです。
工業高校では専門分野以外に普通科目も3年間学ぶのに対し、高専は5年間のうち最後の2年はその他の科目を受けなくなる場合があります。
その結果、5年間専門分野を学んだものの他の分野に弱いという弱点が発生し、就職先は狭く高水準の技術職種になる傾向があります。
あくまで一部の就職先ですが、中には宇宙開発でスペースシャトルに組み込む様なシステム設計を行っている会社に入社している生徒もいます。
工業高校に進学するメリットとデメリット
工業高校に進学するメリットは、就職先が平均して良い企業に入社できることです。
これは工業高校の教育が、企業の求める人材として認められているからです。
また製造業の企業は、若くて社会経験がまだない高卒の新卒という人材を重宝します。
長いスパンで教育すれば、企業の経営理念をよく理解した会社にマッチしたエンジニアを育てることができるからです。
工業高校を卒業してからの進路は、工業高校から新卒で就職した大手業の工場で長く定年まで勤め挙げるのが一番の選択肢と言えます。
学業で優秀な成績を残し、指定校推薦がもらえるならばもちろん進学もありです。
指定校で入学できる大学はレベルが高いので、エンジニアになるならば、さらに高いレベルの知識や技術を身に着けることができます。
工業高校のデメリットとしては、せっかく就職した大手企業の工場員というキャリアを辞めてしまった時、「高卒」という学歴が邪魔をして次の就職先を見つけることが難しくなることです。
工業高校から就職して3年間は頑張って勤め上げる方が、転職を検討する場合に有利に働きます。
高専に進学するメリットとデメリット
高専に進学する場合のメリットは、レベルの高い講義や実習を受けられることで、エンジニアとしてのキャリアを築くことができます。
高専卒の就職する企業は、一般的に大手企業の中でもより専門的な開発、設計に携わることができます。
デメリットとしては、潰しが利かないということが挙げられます。
基本的にはその分野の専門家になることを目的として勉強していくため、高専で学んだ分野が自分に合わないと別の道は全く知らない分野になってしまいます。
また5年間同じ分野を学ぶのは相当な覚悟がないと飽きてしまいます。
「専門分野でプロなりたい!」
という覚悟を決める必要があるでしょう。
工業高校も高専もそれぞれ良い所と悪い所があるので、あなたにとってどちらが向いているかをしっかり考えて進路選択することが大切です。
最後までお読み頂きありがとうございました。