この記事では、工業高校の電気科についてまとめています。
現代の電気機器は、目まぐるしく発展・急成長しており、電気の知識を持った人材が幅広く活躍できる時代になりました。
それに伴い、企業に対する電気科の需要はこれからますます高まると予想されます。
このような背景から、自然と電気科に興味を持つ人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、工業高校の電気科を卒業し、現在は電機メーカーで勤務されている方に、
「工業高校の電気科の就職先や授業内容」について書いて頂きました。
電気科に興味を持っている方は、ぜひ経験者の意見を参考にしてみてください。
工業高校の電気科の就職先とは?
工業高校の電気科の就職先で代表的なのは、電力会社や鉄道会社です。
これらの企業が工業高校卒者を採用する場合は、電気科で学んだ人を優先的に採用するケースも珍しくなく、求人票自体も電気科限定に絞り込んでいることもあります。
大手の電力会社や鉄道会社に入社できるのは、電気科の特権と言えますね。
また、電気科で学んだ内容は就職してからも大きなアドバンテージとなることが多いです。
僕が電機メーカーで働いているので分かるのですが、
電気に関する仕事は、電気に関わる勉強をした人しか理解が難しいため、電気に関する仕事ができる人は会社から重宝される傾向にあります。
電力会社や鉄道会社に続いて、メーカーに就職する人も多数います。
電機メーカー、半導体メーカー、電子部品を作るメーカーなど色々な業界がありますが、電気科を卒業した方をターゲットとした求人が多く出ています。
メーカーなどの製造部門においては、電気の知識がなければ業務を遂行することが困難なため、普通科を卒業した方ではなく、電気科に限定して求人がでているのです。
電気科で勉強した方は、製図や電気の基礎知識について一通り学ぶため、即戦力として採用する会社も多いです。
これらのメーカーに就職した場合でも、工業高校の電気科で学んだことを存分に発揮できるため、就職後に電気科の勉強の物足りなさを感じる場面はあまりありません。
電力会社、鉄道会社、各種メーカーで電気に関わる仕事をしたいと考えている方は、電気科に進学することをおすすめします。
工業高校の電気科から就職する人の業務内容とは?
工業高校の電気科から就職した場合の業務内容は、どんな会社に就職したのかによって異なります。
「将来は電気に関わる仕事がしたい!」
と考えている方も少なくないのではないでしょうか。
このような方は、ぜひ下記の内容を「電気に関わる仕事には何があるのか」という視点で参考にしてみてください。
電力会社に就職した場合
電力会社に就職した場合は、最初は電力の保守関連の仕事に従事していきます。
電線のメンテナンス、発電機のメンテナンス、機械に不具合がないのかをチェックするのが主な業務内容になります。
現業的な部門で働くことが多いことから、体力が必要になる仕事内容も多く、合わせて知力も求められます。
大手の電力会社は、福利厚生や給与形態が整っていることが多いため、安定したワークライフバランスを送ることができると思います。
鉄道会社に就職した場合
まず初めに、工業高校の電気科から鉄道会社への就職ですが、たくさんの人が入社できる訳ではないため、簡単に就職できるわけではありません。
巨大企業であることから、電気科の間でも人気が高く、やはり成績が高い人が毎年入社する傾向にあります。
また、工業高校から一般的な企業へ就職する場合、通常であればほぼ採用されますが、
鉄道会社の場合は、やはり大勢の中から優秀な人材だけを採用していく傾向にあります。
さて、鉄道会社へ就職した場合の業務内容ですが、これはケースバイケースです。
車両の保守に関連した部門に配属された場合は、電車のメンテナンス、点検業務などに従事することになりますが、
他の部門では、信号の管理や鉄道駅の機械部分のメンテナンス作業、保線作業をすることもあります。
鉄道会社に就職する場合には、働く仕事の内容や分野も多岐にわたりますので、業務内容は入社後に配属される部門で変わることになります。
メーカーに就職した場合
工業高校の主な就職先であるメーカーに就職した場合は、設計部門で電気製図を行ったり、各種機械の配線組立作業、設備設計の仕事などに従事することになります。
メーカーでの業務内容は、メンテナンスや保守などの点検業務を行うことは少なく、設計分野や技術分野での仕事が大半を占めており、製造業のモノづくりの仕事に関連した業務を遂行していくことになります。
僕の経験上、メーカーで電気の仕事をすることは、他の学科から就職するより忙しく大変だと思います。
なぜなら電気の仕事は、ものづくりの最終工程に位置するからです。
機械組立作業が終わった後に電気の作業を行うため,電気の作業は基本的に最終工程になります。
最終工程ということは、納期の問題がありますよね。
たとえ前半の工程で納期が遅れてしまった場合であっても、納期をずらすことが出来ないため、残業や休日作業を迫られることも珍しくありません。
その他の業務内容として、電気工事士の資格を持っている方は、電気工事分野の仕事をします。
また、工業高校の難関資格として有名な電験三種を取得している場合は、さまざまな企業で電気のスペシャリストとしての仕事に従事できます。
工業高校の電気科から就職した場合、全く別の分野の仕事に就く人を除き、一般的には製造業などの電気に関連する仕事をします。
工業高校の電気科の授業内容について
電気科の授業内容は、普通科の高校生と同じように国語、数学、英語、社会なども学びますが、専門的な分野の学習があります。
一年生の最初に工業技術の基礎についてみっちりと学び、計測機器の使い方や測定工具の使い方なども学んでいきます。
電気科であっても、入学したての頃はほとんどの人が電気について知らないため、まずは初歩的な電気の基礎を学習することになります。
学年が進むに連れてより高度な内容へレベルアップしますから、いかに一年生の頃から予習復習をしておくかが大切です。
電気科の中でも、成績が良い人と悪い人でかなり大差が生まれてきますので、分からないことを放置せず取り組みましょう。
また、電気科では情報処理の教育もしていますから、情報技術の基礎、ハードウェアやソフトウェアなどの基礎を学習します。
ネットワーク通信、オペレーティングシステムの仕組み、理論回路、プログラミング言語なども学びます。
電気科は、カリキュラムが幅広いものとなっていることが特徴です。
2年生や3年生になるに連れて、これまで学習した内容を活かして応用的な分野の授業になり、電気機器や電力技術について学びます。
変圧器、送電、変電、発電の技術についても触れますので、実学的内容で非常に高度なことを学習していくこととなります。
工業高校によっては、半導体、電子回路、制御技術などの電子分野の授業を取り入れているところもありますが、選択性となっていることが多いため必須ではありません。
年次が進むにつれて実習も多くなりますから、実際に機械に触れたり、電子や電気についてを体験的な学習にて知識を得ていきます。
僕が電機メーカーに就職して感じることとして、
「電気科の3年間で、実際に仕事で求められる技術がしっかり教育されている」
と感じます。
電気科に向いている人の特徴
工業高校の電気科に向いている人の特徴は、まず第一に機械の仕組みについて興味がある人が適していると言えます。
では、僕が実際に電気科で学んでみて
「こんな人が電気科に向いているのでは?」
という人の特徴をいくつか挙げていきますね。
・機械がどのような仕組みで動いているのか筋道立てて考えることができる人
・論理的に物事を考えることが大好きな人
・数学が得意、計算が得意な人(電気科では計算を必要とする科目があるため)
・物を作ることが好きな人
・1から何かを作ったり修理をしたりするのが得意な手先が器用な人
電気科では精密な手作業(はんだ作業など)が求められる場面があるので、手先が器用であれば実習などで役に立ちます。
もちろん上記のような適正に当てはまらない人でも、
「電気のことについて深く知りたい!」
「将来的に製造業などに就職したい!」
といった具体的な進路を考えている人は、電気科がベストな進学先だと思います。
電気科を卒業後も電気について深い知識を得ていけば、電気のスペシャリストを目指すことができるため、
将来的には手に職をつけることができるもできるので電気科はおすすめです。
最後までお読みいただきありがとうございました。