工業高校にせっかく合格したのであれば、勉強して身についた分野を活かした仕事をしたいですよね。
そんな時、「工業高校からどんな職種に就くことができるんだろう?」
と気になるはずです。
この記事では、「工業高校から就くことのできる職種」について説明を交えながら書いていきます。
その仕事の内容だけでなく、いいところ、大変なところも合わせて知ることで自分が本当に働きたい世界を選択できると思います。
また、ここに挙げるのは一例で、学科によってはもっと職業の選択肢があるので学科の担任教師に相談してみましょう。
職種選びに迷っている方はぜひ参考にしてみてくださいね。
機械設計
機械設計とはさまざまな機械の設計を行う仕事です。
設計と言うとプラモデルのように組立順序などを考えるのをイメージしてしまいますが、実際はその機械の仕組みを1から考えて完成形を目指します。
また、新しい機械を制作する際には、その機械の仕組みのアイディアなども考案するので、幅広い作業を求められる仕事になります。
機械設計で設計するのは本当にさまざまな分野の機械です。
家電などの自分の身の回りで使うような機械や、工場などで使う機械、スマートフォンやパソコンなども機械の一つです。
大きなものになるとオートメーション化の進んでいる工場全体の設計を行うこともあります。
進路を決める際には、自分がどのような機械設計をしたいかで選ぶ企業が変わります。
精密機械を作りたいと考える場合、IT企業の技術部を希望し、大型機械を作ってみたいと考えるのであれば重機製造の会社などがおすすめです。
機械設計の仕事内容とは?
機械設計の仕事はどのようなジャンルであっても、企画から生産までを担当することに変わりはありません。
まずは部署の中で制作する機械の企画を立てます。
企画のコンセプトは依頼するクライアントから提示されたり、そこも1から考えることもあります。
クライアント側がどのような機械を希望しているのか、予算はどのくらいかなどの条件をすべてクリアできる設計を行います。
企画が固まったら実際に製図を行います。
この製図は現代ではパソコンを使った作業が主になります。
簡単なメモ程度でもパソコンを使って製図しますので、現在パソコンを使った製図の実習が苦手な人は完璧に使いこなせるようにしておきましょう。
製図後はシミュレーションソフトを使って、その製図が実際に製造された場合に不具合が出ないかを確認します。
そのシミュレーションの最中は、部署の中でその機械が製品として売り出せるものかどうかを会議にかけます。
特にデザインは重要視されますので、デザイン力もある程度は必要になります。
もちろん、デザインに変更があればそれに応じて製図もやり直す必要もあります。
機械設計の仕事においてこの工程が一番苦労します。
試作品を作って実物を見ながら細かな調整を行ったら、最後に生産に向けて詳しい設計図を完成させます。
その時には機械に使う素材や加工方法、組立方法なども詳細に記載します。
ここでも何らかの問題が発生してしまえば設計をやり直します。
機械設計の仕事は練り直しが基本の仕事なのです。
機械設計は基本的に大卒がする仕事なの?
機械設計の仕事は、高卒で活躍している人も多数存在する職種です。
工業大学に通っていなくても、工業高校では機械設計の基礎知識を学ぶことができるため、機械設計業務を募集している企業では工業高校に求人を出すことも多数あるのです。
そのため、「高卒だから機械設計の仕事には就けない」というのは大間違いで、むしろ若い内から仕事内容に慣れてもらうことができるので歓迎される傾向にもあります。
機械設計に興味がある人は早い段階から先生に相談しておくと、成績が足りない、もっと勉強が必要、資格を取るなどこれから就職活動までに何をすべきか教えてもらえるはずです。
機械設計のここが大変!
どんな分野の機械を設計するにしても、工学に関する高い基礎知識が必要になります。
特に構造・熱・流体・材料力学の4大力学の学力は通常よりも高い成績にしておかなければいけません。
さらに機械に使用する素材の相性であったり、規格であったり、生産現場の工法など幅広い実務の知識も必要とされます。
もちろん、それらは知識を覚えておくだけではなく、それをいかに活用できるかも求められるため、大変頭を使う仕事となるのです。
また、設計した機械が全て一発OKをもらうことは絶対にありません。
設計図の時点で他の人が見たら不具合があり、さらに試作品を作っても問題が発生して設計し直すということがほとんどです。
そのため、失敗を恐れない心や周囲の作業員と結託できる力も求められる現場となります。
そして機械設計の仕事は数年で物にできる仕事ではなく、人によっては10年以上経ってもキャリアアップできないという可能性もあります。
しかしキャリアアップによって大きなやりがいにつながるプロジェクトを任せられるようになり、その分給与も上がって会社内での立ち位置も一気に昇格することでしょう。
電気工事士
電気を使った機械が大半を占めているこの現代で「電気工事士」という仕事は欠かすことのできない職種です。
電気工事士の職場は機械のある場所の全てで、一般家庭の家電の取扱い、建物の電気系統の取扱いはもちろん、電気設備の設計などにも関わる仕事です。
電気工事士の資格を持っておけば今後の仕事にも有利ですし、電気工事士の求人を出している企業は基本的にどこの地域でもあるので歓迎されるでしょう。
電気工事士の仕事内容とは?
電気工事士は専門知識と技術が無いと生命に関わる危険を伴う工事になるので、国家資格を取得しなければいけません。
資格には「第一種電気工事士」と「第二種電気工事士」の資格があり、資格によってできる仕事が変わります。
第二種電気工事士は600ボルト以下の一般住宅や、それ相応の店舗の電気工事のみ行なえます。
これ以上の規模になると工事することはできません。
そのため仕事内容は、家庭の電気設備の修理業務や、エアコンなどの取り付け業務など、私たちの身の回りにある電気に関わるモノを扱います。
第一種電気工事士は500Kw未満の電気工事を行うことができる資格で、店舗やビルなどの電気工事の仕事ができるようになります。
仕事内容の多くは電気を使う生活をサポートするというもので、家庭や施設などに安定した電気供給ができるように管理・修理・設計を行います。
電気がなければ建物は完成しませんので、非常にやりがいがあり、安定した仕事だといえるでしょう。
電気工事士の仕事は難しい?
電気工事士の仕事は、電気工事の基礎知識を使って行いますので、場面によっては応用力を求められます。
また、施設の建設にあたってどのように配線を配置するか、安全に電気を供給できるかなどの設計にも携わりますので、決して簡単な仕事とは言えないでしょう。
電気工事士のここが大変!
電気工事士の仕事は基本的に屋外で行われたり、細かい作業を行ったりと肉体的に辛くなる作業になります。
施工する場所によっては汚れまみれになってしまうことや、危険を伴う場所で行わなければいけません。
また、電気工事士として就職したら後は、勉強会などを一切行わず現場で直接指導されるため、なかなか仕事を覚えられずストレスを感じてしまう人も多い傾向にあります。
電気は年中無休で供給されるものですので、電気工事士の仕事も基本的には決まった休みや就業時間が定められていない場合もあります。
電気工事士は現場の仕事なのでキャリアアップというのも見込めない事が多いのですが、経験が豊富になれば頼られる事も増え、それをやりがいに感じられる仕事です。
機械オペレーター
機械オペレーターは、マシンオペレーターとも呼ばれる仕事で、名前の通り機械の操作をする仕事となります。
操作と言っても操縦したり、起動させたりするだけでなく仕事に関わる機械を適切に行う作業を行います。
製品を製造する工場であれば作業環境に応じて機械の設定を変えたり、動きを緻密に操作したり、またはそれを指示するのも機械オペレーターの仕事になります。
機械オペレーターの仕事内容とは?
機械オペレーターの仕事は職場によって変わりますが、基本的にはすでにある機械の操作や情報入力、設定の変更、操縦なども行います。
精密機械になればプログラムを入力することもあります。
作業自体は同じ事の繰り返しになりますが、製品や職場によってはそれぞれに細かな作業を求められるので、経験豊富な人であれば重宝される職業となります。
その他にも、機械に必要な原料や材料などのセット、機械のメンテナンス、完成した製品のチェックなども行い、その機械に関わるもの全てに携わります。
機械オペレーターは難しい?
機械オペレーターの仕事は未経験でも始めることができるのですが、工業高校などで機械操作の基礎知識や機械修理に関する資格などを持っていると優遇されるでしょう。
そのため、即戦力として採用されやすいのは能力の優れている人で、簡単な仕事とは言えません。
また、製品を生産する工場であれば、工場作業に役立つフォークリフトの免許や技術検定などを持っていることを条件にされる事もあります。
機械オペレーターのここが大変!
機械オペレーターは一般の人から見れば「ただの工員」として思われる事も多く、仕事量や技術の高さがあってもなかなか認められないジレンマを抱える人が多い仕事です。
しかし工場の役員や現場の人間からはその技術力などをしっかり理解してくれるので、職場で感じるストレスは少ないでしょう。
また、キャリアアップもなかなか見込めない仕事ですので、就職したあとも資格取得などでスキルを磨く必要があります。
溶接工
溶接工は、溶接を行って製品を作り上げる作業が仕事となります。
溶接には種類があり、工業高校の実習では「アーク溶接」や「ガス溶接」、中には「ボイラー溶接」などを授業で習うこともあります。
工場によって必要とされる溶接の資格もありますので、できれば複数の溶接資格をとっておくことがおすすめです。
溶接工の仕事内容とは?
溶接工は、溶接を必要とする製品を作る仕事です。
大きなものだと建造物の鉄骨を溶接したり、自動車部品、住宅建材の溶接を行ったりします。
小さいものだとイスなどの家具を溶接したりすることもあります。
溶接作業は慣れたら難しくないので、誰でも作業することができ、ベテランになると作業量も上がり仕事もたくさん行えるようになります。
溶接工の仕事は難しい?
溶接の仕事自体は慣れてしまうことで大変さはなくなります。
基本的には同じものや似たようなものを溶接するので作業量が変わらないことも多い仕事です。
しかし、建造物の溶接作業や大きなものを溶接する仕事の場合、かなりの肉体労働になるため、身体への負担が大きくなってしまいます。
溶接工はヤケドするのは当たり前?
高温の機械と材料を取り扱う仕事ですのでヤケドする可能性は高く、僕の友人も溶接工として働いていますが、ヤケドは特に珍しいことではないと言っていました。
ヤケドにも程度がありますが、数日で治るものもあればいつまでも痕が残ってしまうものもあります。
また熱気によって低温やけどを起こしてしまうこともあり、危険が伴います。
溶接工は給料が高いってホント?
溶接工を雇っている会社にもよりますが、現場作業員としての給料よりも高くなる傾向にあります。
その理由は溶接には資格が必要であること、危険を伴う仕事であること、仕事量が多いことなどが挙げられます。
また、正規雇用ではない場合も溶接作業者であれば時給が高くなりますので、正社員を辞めてしまったとしてもある程度稼げる仕事を見つけられるメリットがあります。
溶接工は入れ替わりも激しく、人員不足となっている現場も多いので、働いている内に正社員として契約してもらえるチャンスもあり、そうなれば給料も上がります。
機械組立工
機械組立工は、機械設計士が用意した図面通りに機械を作る仕事です。
機械の組立から塗装や製品管理なども行い、機械生産の要を担う仕事となります。
機械組立工の仕事は働く現場によって作業内容が大きく変わることがあり、企業によって内容をしっかり把握することが大切です。
また、一つの機械を全て一人で組み立てる工場、数人で一つの機械を組み立てる工場もありますが、いずれにしても同僚とのコミュニケーション能力も求められます。
機械の組立は難しい?
機械の組立は用意された図面通りに行うので簡単そうに思えますが、新しいシステムの機械になるとこれまでの経験や知識を活かした作業となるので難しい仕事になります。
しかし、これまでの製品と似たようなものであれば組立にそう時間もかかりませんので、慣れたら簡単に作業する事も可能となる経験が物を言う仕事です。
機械組立工は比較的楽に仕事ができる?
機械組立の仕事は組み立てる機械によって難易度が変わります。
小型家電や大量に流通されている機械になれば簡単に作業できるので、楽に感じられます。
しかし農業機械や大型機械などになれば体力的にも辛く感じたり、単調な作業に精神的に辛くなることもあります。
機械組立工のここが大変!
機械の組立作業は、力仕事を必要とされます。
小さな機械であっても、その部品がたくさん詰まった箱を持ち運ぶこともありますし、パーツの一つ一つが大きければ身体に負担がかかります。
また、作るものによっては完成しても検品で弾かれてまた作り直しという場合もあります。
給料も企業によって大きく変わります。
中小企業になると時給も低くなる傾向にあり、希望する賃金が得られない部分は大変だと言えます。
最後までお読み頂きありがとうございました。